研究課題/領域番号 |
26670679
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡崎 純子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80645531)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 閉塞型睡眠時無呼吸 / 周術期循環系合併症 |
研究実績の概要 |
閉塞型睡眠時無呼吸は周術期呼吸合併症の独立危険因子であり、術前患者の約18%に合併すると推定される。最近のメタ分析において睡眠時無呼吸の存在は術後呼吸合併症の頻度を増加させるばかりではなく、術後心イベント発生率も約2倍増加させると報告されている。しかしながら、周術期循環変動や合併症のメカニズムやその危険因子、予防方法に関する研究はなされていない。 内科学領域では、特に夜間血圧低下を認めないノンディッパー型を有する睡眠時無呼吸合併患者は、高血圧、冠動脈疾患、心不全、脳血管障害など循環系合併症を併発しやすく大きな予後決定因子となっていることが大きく注目されている。 24時間自由行動下血圧測定(ABPM)が臨床的に容易となり、睡眠時無呼吸合併高血圧患者の予後予測での有用性が証明された。周術期においても睡眠時無呼吸患者の術前ABPMで評価される夜間血圧変動パターンによって、循環系合併症を予測できるのではないかと予想した。 本研究の目的は、睡眠時無呼吸患者における上腹部手術前後の血圧日内変動を調べ、特に術前ノンディッパー型患者において、初期心機能障害を示唆する高感度トロポニンやBNPが術前よりも増加しているかどうかを検証することである。 この研究により睡眠時無呼吸患者のなかで周術期ハイリスク患者を非侵襲的に同定できる可能性がある。 平成26年度は準備段階として実際に手術前の睡眠時無呼吸患者患者数名に対してABPMを行い、ディッパー型、ノンディッパー型を判別し、周術期にも安定して使用できることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の次の段階としてβブロッカーによる術前よりの治療がノンディッパーの高血圧合併睡眠時無呼吸患者の周術期循環合併症発生の低下につながるかを検証する予定であった。だが、術前1日以内のβブロッカー開始が脳梗塞、死亡、低血圧、徐脈を増加させ、また2日以上前からの開始に関する十分なデータはないとの見解が示され(Wijeysundera DN, et al. Circulation 2014)、本研究のデザインそのものを見直す必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
情報収集を進めるとともに、まずは上腹部予定手術患者40名を対象として術後心機能マーカー測定を行うことにより、術前24時間血圧変動パターンが術後の心機能障害を予測するか検証し、学会発表を行う。 術前24時間血圧変動パターンにより、術後心機能障害を予測できることが明らかにできた後は、睡眠時無呼吸を治療することにより血圧変動パターン異常と術後心機能障害が改善されるかを検討するためさらなる情報収集を始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定していた学会(米国胸部疾患学会)に参加できなかったため。 購入予定の物品(アクチグラフ、簡易睡眠呼吸レコーダ)の購入が遅れている。
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次年度使用額の使用計画 |
予定した物品(アクチグラフ、簡易睡眠呼吸レコーダ)を購入する。
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