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2015 年度 実施状況報告書

麻酔作用における脂質仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 26670683
研究機関福井大学

研究代表者

三田 建一郎  福井大学, 医学部, 特別研究員 (30529342)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードイオンチャネル / 麻酔薬 / 脂質仮説 / 側方圧
研究実績の概要

本実験の目的は、麻酔薬のメカニズムとして提唱されている脂質仮説(麻酔薬が細胞内に溶け込み、膜の側方圧を変化させることによりイオンチャネルに影響を与えているという説)を検証することである。
当初はリポソームパッチ法を使用して膜張力を測定する計画であったが、形成された脂質二重膜が非常に微細であり二重膜の形状変化を確認することができなかった。そこで、より大きな膜で形状変化を捉えることができる脂質バブル法を用いることとした。これは二つのガラス管先端に形成された脂質バブル(脂質一重膜)を接着させることにより二重膜を形成させる方法である。バブルの直径から二重膜の曲率を算出することを考えたが、実験範囲内で有意な曲率変化を達成することができなかった。これは膜の張力の変化を定量的に数値として捉えることが困難であることを示唆する。
そこで、薬剤が確実に脂質二重膜に入り込み、水溶液側からではなく、確実に脂質のある側方からイオンチャネルに影響を与えることができる方法を模索した。脂質バブル法は、有機溶媒中に脂質一重膜によって区画された水溶液を含んだバブルを形成させることによって行う方法である。このため、脂質溶媒中に薬剤(脂溶性に限る)を還流させることで、水溶液を介さずに直接脂質二重膜に薬剤を組み込ませることができると考えられる。これまで、所属研究室ではバブル内の水溶液を還流する方法がほぼ確立されつつあり、同様の方法で上記実験を行うことができるのではないかと期待している。
バブル内にイオンチャネルを組み込み、電流計測ができるレベルまで技術習得することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

脂質バブル法で、安定的なバブル形成を達成できるようになるまで比較的時間がかかってしまった。
脂質のみからなるバブルは比較的安定であるが、そこにタンパク質であるイオンチャネルを組み込むことは、脂質から見るとゴミのようなものであるため、膜の安定性が悪くなる。容易にバブルが壊れないレベルの脂質とチャネルの適切な比率を見つけ出し、電流計測に耐えられる状態にするのに難渋した。

今後の研究の推進方策

長時間の電流計測に耐えられるようなバブル形成ができるようにする。その上で、脂質溶媒に薬剤を還流し、電流の変化を観測していく。薬剤投与の前後でどのようにイオンチャネルのゲーティングが変化していくのか測定する。

次年度使用額が生じた理由

購入予定であった物品は、所属研究室の他の研究者が購入したため、購入する必要がなくなった。

次年度使用額の使用計画

電圧をかけても安定な電流計測ができるためには、純度の高い脂質二重膜を形成する必要がある。ゴミの少ない脂質水溶液を作成するため、高スペックな遠心分離機が必要となる。このために費用を使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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