肝移植では、ドナーの肝臓の門脈と肝静脈をレシピエントの血管に吻合した後に血液を灌流するが、その際異常な低血圧が引き起こされる。この現象は再灌流症候群と称されている。再灌流症候群は、冷却された保存液で満たされていた肝臓の血管内を血液が通った後に全身に流れる際に血管弛緩物質が全身に流れるためと考えられる。 今回、再灌流症候群の血管弛緩物質の本態を探索した結果、アデノシン三リン酸(ATP)がその候補として浮上したが、まだ確定には至っていない。 PRSは肝移植患者の術後死亡率や有病率と関連するといわれており、そのメカニズムを解明することは肝移植患者の予後を改善することが期待される。
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