本研究では痛みの客観的評価とバイオマーカーの開発を通して、トランスレーショなるリサーチのツールとなるソフトウェアの開発を目指した。そのために、昨今注目されている脳画像を用いた痛みのバイオマーカーの開発を参考に動物への応用を目指した。そのために、1)オスの5週令のウィスターラットで顔面の神経障害性疼痛モデルを作成し、その疼痛行動を評価した。2)術後2週で疼痛行動の生じているラットとその対照群としてナイーブ(手術を全く行わない)、シャム(顔面に切開のみ入れる)をMRI撮像施設に移送し、術後3週目にあたる7週令で撮像を行った。3)撮像の3日前から毎日造影剤であるマンガネーゼを投与し、撮像はイソフルレン麻酔下でT1強調画像で脳と脊髄の撮像を行った。4)撮像結果を標準画像に変換し、そのおのおのの領域についてマンガンの取り込みを評価した。 その結果、スライスごとの解析では明らかな有意差を認めるものの、標準画像で立体構成させ、3次元でそのマンガンイオンの取り込みを評価した場合にはその有意差が消失した。 以上のことから、ソフトウェア化で今回試みようとした標準化ステップを踏んだ自動化ソフトウェアは今回の実験では困難であり、エンハンス強度を基にしたアルゴリズムの開発にはこれまでと同様の標準化技法を経ずに行う必要があることが明らかとなった。しかし、スライスごとの評価では有意な結果を複数の部位で見ることが出来たので、別のアプローチで検証を試みれば、実現可能性があると考えられる。、
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