研究課題
1) 転移を有する腎癌、尿路上皮癌、前立腺癌患者で、各々、血管新生阻害分子標的薬、CDDPを含む化学療法、内分泌療法を行う患者を書面での同意の下、治療前、治療中の画像診断による効果判定時に血漿を採取している。各血漿サンプルよりCell-freeのDNAとエキソソームmiRNAを得る。患者が明らかなPDや治療耐性で超進展状態になった血漿DNA、miRNAを解析中である。2) Cell-freeの血漿よりDNAについてはNucleoSpin® Plasma XS、エキソソームmiRNAはExoMirTMキット等で抽出。これを保存する。3) 26年と同様に患者をリクルートし、治療前、それぞれの評価時の血漿サンプルを得、血漿よりフリーのDNA、並びにエキソソーム由来のmiRNAを抽出し、保存している。4) 患者の薬物療法への反応性、効果、再発、憎悪、などの臨床情報とともに、キーポイントでの血清、並びにエキソソーム由来のmiRNAを抽出し、保存している。5) 先ず転移性腎癌をモデルとして、血管新生阻害剤(TKI)が投与される転移性腎癌患者を対象として、分子標的薬投与前、投与後のエキソソーム由来miRNAを抽出した。このmiRNAよりRTPCRにて、腎癌の発癌や進展に関与されるとされている代表的なmiRNA(miR-21、miR-155、miR-210、miR-378など)を解析した。結果として、TKI投与前の血清exosomal miR-21の発現量が高いと、治療の無憎悪生存期間が有意に悪いことを見出した。さらに血清の解析も行い、TKI療法によって、 (ⅰ)効果を示し最も病変が少なくなった時点の血漿サンプルと、 (ⅱ)抵抗性となり明らかな病変が多発化・進行した時点での血漿サンプルにおいて比較検討し、血清IL-8やTGF-αの推移がその後の予後を有意に反映することを示した。
2: おおむね順調に進展している
●我々は、まず、転移性腎癌患者で分子標的薬で治療された患者を対象に本プロジェクトを進めている。現在まで、30症例以上の転移性腎癌を有する患者で分子標的薬治療を受けた対象の末梢血よりmicroRNAを抽出し、腎癌で文献的に注目されているmicroRNAの定量をおこなった(治療前、治療中、治療後)。アキシチニブ投与前(0週)と投与4週後の血清からexosomal miRNAを抽出(NORGEN Plasma/Serum Exosome RNA Isolation Kitを使用)し、リアルタイムRT-PCR(Taqman probe法)でmiR-21、miR-155、miR-210、miR-378の相対量を測定した。さらに健常対照群(N=18) とアキシチニブ投与群(0週)のmiR-21、miR-155、miR-210、miR-378の発現の比較も行った(miR-378のみN=9)。●結果として、アキシチニブ投与群(0週)の各miRの発現は健常対照群と比し有意差は認めなかった。アキシチニブ投与前後で、各Target microRNAの発現量に有意な変化は見られなかった。アキシチニブ投与前のmiR-378の発現が中央値より高い群で奏功率が有意に高かった。(表3:P=0.048)アキシチニブ投与4週後にmiR-21の発現が減少した群で奏功率が高い傾向があった(表4:有意差なし)。アキシチニブ投与群(0週)のmiR-21の相対発現量が中央値より低い群で有意に無増悪生存期間が延長した。(図1: NR vs 7.0ヶ月 P=0.019) 。アキシチニブ投与後に、投与前よりmiR-21の発現が減少した群で無増悪生存期間が長い傾向にあった。●以上、腎癌患者の末梢血MicroRNA解析が分子マーカーとなる可能性が示唆された。このように、当初の研究目的達成に向けて研究が進んでいる。
転移を有する腎癌、尿路上皮癌、前立腺癌患者で、、治療前、治療中の画像診断による効果判定時に血漿を採取。各血漿サンプルよりCell-freeのDNAとエキソソームmiRNAを得る。患者が明らかなPDや治療耐性で超進展状態になった血漿DNA、miRNAを解析。ドミナントな変異やドミナントなmiRNA異常発現を絞る。このドミナントな異常を過去の経時サンプルでのfractionを評価。治療抵抗性へのキーとなる異常を同定する。具体的には、現在まで腎癌を主に研究をおこなっているが、対象をひろげること。腎癌患者においては対象者をさらに広げ、確固たるデータを確立すること。血清の蛋白マーカーとの比較も検討することなどである。①転移を有する腎癌、尿路上皮癌、前立腺癌患者で、各々、血管新生阻害分子標的薬、CDDPを含む化学療法、内分泌療法を行う患者を書面での同意の下、治療前、治療中の画像診断による効果判定時に血漿を採取し、保存する。 ② 26年と同様に患者をリクルートし、治療前、それぞれの評価時の血漿サンプルを得、血漿よりフリーのDNA、並びにエキソソーム由来のmiRNAを抽出し、保存する。 ③患者の薬物療法への反応性、効果、再発、憎悪、などの臨床情報とともに、キーポイントでの血漿保存とフリーのDNA、並びにエキソソーム由来のmiRNAを抽出する。平成27年度においては、エキソソーム由来miRNAの解析を、先ず各患者で薬物療法によって、 (ⅰ)効果を示し最も病変が少なくなった時点の血漿サンプルと、 (ⅱ)抵抗性となり明らかな病変が多発化・進行した時点での血漿サンプルにおいて、miRNA Array解析(miRCURY LNA microRNA Array)を用いて、3000を超えるmiRNA種を一挙にスクリーニングする。この (ⅰ)と(ⅱ) のmiRNAの発現量プロフィールを比較し、著しい違いを示した、miRNAを治療抵抗性関連候補として、解析する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Int J Cancer
巻: 136 ページ: 74-82
10.1002/ijc.28952
Prostate
巻: 74 ページ: 1521-9
doi: 10.1002/pros.22869
J Urol
巻: 192 ページ: 1064-1067
10.1016/j.juro.2014.04.001
BMC Urol
巻: 14 ページ: 26e
10.1186/1471-2490-14-26
Biochem Biophys Res Commun
巻: 448 ページ: 390-396
10.1016/j.bbrc.2014.04.107
http://www.med.akita-u.ac.jp/~hinyoki/