研究課題/領域番号 |
26670699
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
武田 正之 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80197318)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 下部尿路機能障害 / 難治性 / 過活動膀胱 / 小胞型トランスポータ / ATP / 機械センサー / TRPイオンチャネル / Piezo |
研究実績の概要 |
温度感受性TRPチャネル、Piezo1、VNUTおよび時計遺伝子異常と睡眠行動、24時間排尿行動の異常との関連性に関する研究 1.ヒト遺伝子多型、血中・尿中バイオマーカー候補と臨床症状(IPSS, OABSS, 排尿日誌など)の探索:山梨大学医学部附属病院および関連施設の外来患者を対象として行った。すでに倫理審査に関しては、本申請書5ページの「人権の保護及び法令等の遵守への対応」により、山梨大学倫理委員会の承認を受けている。対象者;夜間頻尿・夜間多尿と同年齢・性別の正常対照者。対象遺伝子;温度感受性TRPチャネル、Piezo1、VNUTおよび時計遺伝子。方法;血中・尿中メラトニン、AVP 、ANP、BNPの測定とメタボロミクス解析を実施中である。 2.In vivo動物実験:遺伝子改変動物の排尿行動;排尿行動検査用代謝ケージ(既存)を用いた結果、ある特殊なClock変異マウスにおいて、夜間多尿・夜間頻尿を呈することが判明し、現在、疾患モデルマウスとして特許準備中。 3.In vitro実験:(1)マウス、ラットのex-vivo 膀胱上皮細胞培養系の作成と実験;野生型マウスでは、各種時計遺伝子群の概日リズムは保存され、TRPチャネル、Piezo1、VNUTなどの機械センサー群の概日リズムも保存されていた。上記のある特殊なClock変異マウスにおいて、ex-vivo 膀胱上皮細胞は、各種時計遺伝子群の日内変動が消失し、これと同期してTRPチャネル、Piezo1、VNUTなどの機械センサー群の概日リズムも消失していた。(2)Ex-plant culture法によるin vitro実験:ラット、マウス摘出組織を用いて、通常のexplant culture法によって初代培養細胞系を作成した。この培養細胞における各種時計遺伝子群の日内変動、TRPチャネル、Piezo1、VNUTなどの機械センサー群の概日リズムを検討している。また、伸展などの刺激に対する細胞内カルシウムイオン濃度の変化、細胞外のATP 放出量の変化を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最新の機械センサーであるPiezo 1のマウス膀胱上皮細胞における発現、機能に関しては、2014年にJ Biol Chemに掲載された。 小胞型トランスポータのひとつであるVNUTの下部尿路機能制御における役割に関しては、現在、Nature Communication誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
時計遺伝子のひとつであるClockのある特殊な変異導入マウスにおいて、夜間多尿・夜間頻尿を呈することが明らかとなり、これまで報告されていない「夜間頻尿モデルマウス」を作成できた。このマウスにおける時計遺伝子群、機械センサー群の日内変動の変化が夜間頻尿をはじめとるする下部尿路機能障害の原因となる可能性を追求し、新たな治療法の開発につなげて行く予定である。
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