研究課題/領域番号 |
26670702
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
公文 裕巳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30144760)
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研究分担者 |
松浦 栄次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20181688)
荒木 元朗 岡山大学, 大学病院, 講師 (90467746)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / 脂質 / 臨床 / ストレス / 微生物 |
研究実績の概要 |
我々は尿路結石由来のナノバクテリア様粒子(NLP)の培養に使用する牛胎児血清(FCS)に対するγ線照射で生じる酸化脂質により脂質ラメラ構造が形成され、それを足場にアパタイトの結晶を核としたNLPが自己増殖することを提唱した。本研究では、NLPを用いて、結石の増殖のメカニズムと、動脈硬化をはじめとする慢性炎症性疾患における異所性石灰化に関与する病態の共通基盤の詳細な解明をめざす。 1.異所性石灰化の機序を探るためNLPの成長に関する実験を行った。市販の合成ヒドロキシアパタイトを超音波破砕してNLP 形成の核として用い、γ線照射FCSまたは非照射FCSを添加した培地と6週間インキュベーションを行い、2週ごとに650nmの吸光度を測定し増殖を評価した。γ線照射FCS添加培地では吸光度が経時的に上昇したが、非照射FCS添加培地では上昇は見られなかった。このことからγ線照射FCSの構成成分の増殖への関与が示唆された。 2.NLPから脂質を抽出し、構成成分を解析した。γ線照射FCSを添加したDMEM培地でインキュベートしたNLP、および同ロットの非照射FCS添加培地でインキュベートしたNLPをそれぞれ遠心により集め、Folch法により脂質を抽出した。HPLCでの脂質単離を検討したが、全成分を一度に検出する条件検討が難しいため、TLCでの定性分析を先に行った。NLP由来の脂質にはコレステロール及びコレステロールエステルと推定されるスポットのほか、有機物のスポットが2か所認められた。TLC上のスポットを回収して再度クロロホルムにより抽出し、各画分をMALDI-TOF-MSにより測定した。展開先端の画分からエステル型の7-ケトコレステロールと推定されるイオンが検出された。現在、他の成分についても解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NLPは増殖速度がもともと遅いため、NLP由来の脂質を集めるために時間がかかり、得られた量も少なかった。また、NLP由来脂質のHPLCによる測定のために適切な移動相を検討しているうちに、サンプル(NLP脂質)量が不足したため、一度に多成分の定性ができるTLCによる解析に切り替えた。TLCにより分離した画分の質量分析を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
1.NLPの増殖を継続してNLP脂質を追加で集めつつ、TLCにより分取したNLPの脂質成分の質量分析を引き続き行い、化合物を特定する。 2.γ線照射FCSを添加して形成したNLP、非照射FCSを添加してインキュベートしたNLP、また、ヒドロキシアパタイトから形成したNLP の微細構造を走査電顕(SEM)および透過電顕(TEM)により観察し、NLP形態の比較を行う。 3.尿路結石患者の腎乳頭の石灰化プラーク(Randall プラーク)および動脈硬化患者由来の頸動脈プラーク等を対象としてSEM、TEM、特異抗体による免疫電顕、および免疫組織染色、イメージング質量分析により、臨床病巣におけるNLPの局在および形態観察をすると共に、特徴的な脂質の局在を精査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
NLPは増殖速度がもともと遅いため、NLPを集めるのに時間がかかり、得られたNLP脂質の量が少なく、解析方法の検討に時間がかかった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度より繰り越した経費は、特異抗体による免疫電顕や、臨床検体を用いる免疫染色、イメージング質量分析等の解析に使用する計画。
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