研究課題/領域番号 |
26670703
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
江藤 正俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90315078)
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研究分担者 |
元島 崇信 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60726355)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
進行腎癌に対する分子標的薬治療は患者の予後を明らかに改善させたが、その限界も明らかになってきた。一方、抗CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte antigen-4)抗体や抗PD-1(programmed cell death protein-1)抗体といった免疫反応の調節制御に関わるImmune checkpoints阻害薬が新たな免疫療法として非常に注目されており、我々は強力な分子標的薬axitinibと抗CTLA-4抗体あるいは抗PD-1抗体を併用するマウス腎癌モデルを作成し、抗腫瘍効果の増強について検証する計画を立てた。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の2つのImmune checkpoint阻害薬を併用するマウスモデルも作成し、抗腫瘍効果の増強およびメカニズムについて検討することも立案した。本年度は抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用のマウス腎癌モデルの作成を中心に研究を進め、両剤の併用にて抗腫瘍効果の増強を確認できた。また、腫瘍局所の免疫染色により、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用群において最も多くのCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の浸潤を認めるデータ等を既に得ている。2つのImmune checkpoints阻害薬の併用による抗腫瘍効果の増強が確認できれば、分子標的薬治療による限界が認められている進行腎癌治療における大きな突破口になると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用の有用性についてマウス腎癌モデルを作成し、両剤の併用にて抗腫瘍効果の増強を確認できた。また、腫瘍局所の免疫染色により、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用群において最も多くのCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の浸潤を認めるデータ等を既に得ているので、おおむね順調に推移していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用のマウス腎癌モデルにおけるメカニズムの解析をさらに進める。具体的には上述したT細胞以外にNK細胞、マクロファージ、myeloid derived suppressor cell (MDSC)に対する免疫染色を進めるとともに、in vivoに抗CD4抗体、抗CD8抗体を用いて機能解析も進めていく。強力な分子標的薬axitinibと抗CTLA-4抗体あるいは抗PD-1抗体を併用するマウスモデルについても抗腫瘍効果の更なる増強を検証すると共に、メカニズムについても抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用の場合と同様に明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費を効率的に執行した結果、物品費を節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
節約できた分、実験器具や旅費などに有効に使用したい。
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