研究課題
進行腎癌に対する分子標的治療薬は患者の予後を明らかに改善させたが、その限界も明らかになってきた。一方、抗CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte antigen-4)抗体や抗PD-1(programmed cell death protein-1)抗体といった免疫反応の調節制御に関わるImmune checkpoints阻害薬が新たな免疫療法として非常に注目されており、我々は強力な分子標的薬axitinibと抗CTLA-4抗体あるいは抗PD-1抗体を併用するマウス腎癌モデルを作成し、抗腫瘍効果の増強について検証する計画を立てた。また、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の2つのImmune checkpoints阻害薬を併用するマウスモデルも作成し、抗腫瘍効果の増強およびメカニズムについて検討することも立案した。本年度は抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用のマウス腎癌モデルの作成を中心に研究を進め、両剤の併用にて抗腫瘍効果の増強を確認できた。また、腫瘍局所の免疫染色により、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用群において最も多くのCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の浸潤を認めるデータ等を既に得ている。またmyeloid derived suppressor cells (MDSC)と抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体を共培養することで、TGF-βやIL-10等の抑制系のサイトカインのmRNAの発現が低下する可能性を認めた。immune checkpoints阻害薬の併用による抗腫瘍効果の増強が確認できれば、分子標的治療薬による限界が進行腎癌治療における大きな突破口になると期待される。また、我々は腎癌患者におけるCD14+HLA-DRlowあるいは-のmonocytesに注目して、CD14+HLA-DRlowあるいは-のmonocytesの割合とCCL2 and CXCL10が逆相関することも見出して、腎癌患者におけるmonocytesは免疫学的に抑制されている可能性を示した。
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