研究課題
本研究は「Treg バンク作成と術前Treg投与による新規免疫寛容療法」、および、「組織再生保護作用と免疫寛容誘導促進作用を併せ持つ遺伝子“MF-1”を新規核酸内遺伝子導入法(HVJ-Lenti-US法)を用いて移植腎内に導入すること」によって“免疫抑制剤を使用せずして移植腎を永久生着させること”を目的としている。①「Treg バンク作成」:レシピエントの末梢血から非特異的な免疫制御細胞(Treg)を予め術前にcell sorterを用いて採取し、CD34幹細胞、CD141樹状細胞と共培養することによってin vitroで増殖させ、必要なときに必要な量のTregをいつでも供給可能なTregバンクを作成した。②「術前Treg投与によるドナー特異的免疫寛容の確立」 ①で増殖させた非特異的Tregを術前投与し、3日目に移植術を行うと術後にドナー特異的免疫寛容を誘導する(抗体などを用いないのでアナフィラキシーショックを発症せず、安全かつ合理的な方法である:今回の改良で誘導率は85%に向上した)。③「新規核酸内遺伝子導入法」:高率にゲノム内に遺伝子導入が可能なレンチウイルスベクターに目的遺伝子を組み込み、HVJリポゾームに封入することによって、通常遺伝子導入が極めて困難な腎組織内、しかも核酸内に遺伝子導入を可能にする新規遺伝子導入法である。①-③を併用することによって安全、かつ高率に免疫寛容を誘導し、また、MF1の組織修復・再生作用、および、免疫寛容継続維持作用によって「免疫抑制剤を使用せずに移植腎を永久生着させる」極めて画期的な新規腎移植免疫療寛容法である。本治療法が臨床応用され、免疫抑制剤を用いない移植を実現させることは、移植患者のQOLを向上させるのみならず、これまで年齢や合併症などで移植を受けられなかった子供や高齢者にも適応が広がる意味で極めて有意義であると思われる。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Oncotarget.
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