研究実績の概要 |
我々が、Cre-LoxPのシステムによるconditional gene targeting法にて開発したPSA-Cre PTEN homo欠失マウスモデルを用いて、 Autophagy必須遺伝子ATGを前立腺組織でのみノックアウトさせたPSA-Cre PTEN/Atg-7ダブルKOマウスを作製し、発癌・進行過程におけるAutophagyの作用について検討した。まず、PSA-Cre+/Atg7f/fマウスを作製し、♂PSA-Cre+/PTEN homo deletionマウスと交配させ、PSA-Cre+/PTENf/+/Atg7f/+ (PTEN、ATGともにヘテロ欠失型)を確立した。続いて、ヘテロ型同士の交配により、PTEN homo ATG7 hetero deletion、PTEN hetero ATG7 homo deletion、PTEN,ATG7 homo deletionの3表現型Colonyを作製した。 前立腺組織においてAutophagyを欠失させることによって発癌や癌の増殖進展がどのような影響を受けるのか、組織学的・分子生物学的に検討した。Akt/p-Akt, 細胞分裂, アポトーシス, Autophagyのindicatorであるp62についてみたところ、各分子の発現はWild-typeとPTEN不全マウスの間で異なるだけでなく、各time pointにおいて経時的な変化を示した。p62の発現低下はAutophagyの促進を意味し、Autophagyの促進がアポトーシス抑制と相関することが分かった。また、CRPCマウスモデルにおいてはp62, LC3A I/IIの低下が認められ、Autophagyが増進していることを突き止めた。また、PTEN欠失前立腺癌マウスにおいて、Autophagy欠失により、生存期間が延長することが確認できた。
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