研究課題
類内膜腺癌組織で性ホルモン濃度を測定し、癌局所においてestrogenのみならずandrogen(dihydrotestosterone:DHT)の濃度が亢進していることを明らかとした。さらにDHTはtestosteroneをDHTへ変換する酵素5α-reductaseで制御されること、5α-reductase発現症例は、発現していない症例に比して有意に予後が良く、多変量解析でも独立予後因子であることが明らかとなった(Molecular and Cellular Endocrinology 2015)。一方、高活性のestrogen(E2)から低活性のestrogen(E1)への転換を担う酵素17β-hydroxysteroid steroid dehydrogenase 2 (HSD2)が、組織中DHT濃度によって制御され、HSD2発現症例は生物学的悪性度が低いことも明らかとなった。以上より、類内膜腺癌で、androgen(DHT)は、estrogenの腫瘍増殖促進作用とは逆に増殖抑制に働く可能性が明らかとなった。周囲の内膜増殖症の有無と癌との臨床病理学的特徴の相違は見出せなかった。これらの結果からestrogen依存性として分類されるTypeⅠは、estrogenのみならずandrogenによってもその生物学的特徴に大きな影響を受けており、高エストロゲン環境下で内膜増殖症→異型増殖症→癌という単純な図式ではないことが示唆された。これら成果を含めた内膜癌とアンドロゲンの知見をinvited reviewとして掲載(Endocrine-Related Cancer 2016)し、one of the most read articles in Endocrine-Related Cancer during 2016 としてHighly Read Author賞を授与された。
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Internatioal Journal of Gynecologic Cancer
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1097/IGC.0000000000000995
Endocrine Related Cancer
巻: 23 ページ: 323-335
10.1530/ERC-15-0470