研究課題
足場非依存性増殖能(anoikis抵抗性)は癌細胞の性質として知られているが、すべての癌細胞がanoikis抵抗性を示すわけではない。今回我々は、軟寒天培地でコロニーを形成しない卵巣癌細胞株OVCA420細胞を用いて、shRNAライブラリーを用いた機能ゲノミクススクリーニングを行った。その結果、ABHD2, ELAC2, CYB5R3の3遺伝子の発現抑制が、OVCA420細胞において、anoikis抵抗性をもたらすことを見出した。それら3遺伝子は、the Cancer Genome Atlasの卵巣高異型度漿液性腺癌(HGSOC)データにおいて、コピー数低下を認める症例が多かった。また、ABHD2は、その発現抑制が卵巣高異型度漿液性腺癌の臨床サンプルにおいて予後不良、化学療法抵抗性と相関していた。また、OVCA420細胞におけるABHD2の発現低下は、リン酸化ERKおよびリン酸化p38の発現上昇をもたらした。一方、SKOV3細胞におけるABHD2の強制発現は、リン酸化ERKおよびリン酸化p38の発現低下とanoikisの亢進をもたらした。さらにOVCA420細胞におけるABHD2の発現低下は、プラチナ抵抗性をもたらした。結論として、我々は卵巣癌において、機能ゲノミクススクリーニングによって、発現の低下がanoikis抵抗性をもたらす遺伝子を探索した。そして、ABHD2の低下は、ERK経路およびp38経路を介してanoikis抵抗性をもたらし、さらにプラチナ抵抗性、卵巣癌の予後不良に関与することを見出した。
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