研究実績の概要 |
捕食者を加えることにより形態変化を起こしたエゾアカガエルの脳の大規模シークエンスをイルミナ解析により行った。更に、この解析に加え、Rana pirica幼生の脳で発現している遺伝子のシグナル伝達の解析を行った。捕食者誘導を行った各実験群において3,000万個のタグを解析した。得られた遺伝子はXenopusのデーターベースと照合し、約20,000種の遺伝子を同定している。現在も解析は行われており、完全解析の結果は今後得られる予定である。次にイメージングMSによる捕食者誘導によるXenopus幼生の代謝物解析を行った。5日間の被捕食ストレスを受けた個体でも多くの代謝物の量が異なっている事が予備実験で明らかになった。しかし、これらの代謝産物の解析は組織切片上で行われるため、代謝産物が異なる組織が何処なのかを正確に特定する必要があった。特に、組織切片では切断部位の形状の変化により、組織の同定が極めて難しい場合が多い。そのため、本実験では今後実験に用いる事が多い、Xenopus幼生を用いて、幼生から組織を取り出し、各臓器から代謝産物を抽出し、それらの同定を行った。次に、各臓器を正確に同定できる切片を作製し、その切片を用いてMS解析を行った。これにより、組織像と代謝産物の対応が可能となり、組織画像が不明な場合でも代謝産物から組織の同定が可能となった。その結果、動脈ではHydrocoritisone、心臓ではHeme鉄、菱脳ではL-DOPA、筋肉ではイノシン酸、目ではタウリン、神経ではドーパミン、鰓ではコルチコステロン、咽頭では1-palmitoyl-2-arachidonoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamineが主な代謝産物である事が明らかになった。これにより、脳を含んだ体全体での代謝産物と組織の関係が明らかになった。
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