研究課題
CD36は細胞膜2回貫通型の受容体で、酸化 LDL や Thrombospondin などが結合する。CD36 は 細胞表面に表現されているため、中和抗体を作製することが可能です。CD36の中和抗体を作成するために、ヒトCD36分子発現ベクターを作製し、マウスNIH3T3細胞に遺伝子導入しました。これにより、ヒトCD36を細胞表面に発現したNIH3T3細胞を作製し、CBマウスの腹腔内にアジュバントとともに注入し免疫を行いました。脾臓を摘出後に細胞をマウス 形質細胞と細胞融合して Hybridoma Libratry を作製、Hybridomaにより産生された抗体をを含む上清を用いて、結合能のスクリーニングを行い、46株の抗ヒトCD36抗体を産生するHybridomaを得ました。この上清を用いて、中和活性のスクリーニングを行いました。卵巣がん細胞株を抗CD36抗体を含む培地で培養すると、1種類の上清で細胞株の増殖能が抑制されました。また、CD36 は酸化 LDLと結合することにより、Src を介してNRF2を活性化し、HB-EGFの転写を活性化することがわかっています。そこで、ヒトCD36遺伝子を導入したマウスNIH3T3細胞にHB-EGF のプロモーター配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したレポーターベクターを遺伝子導入し、得られた抗体の中和活性を検討しました。ヒトCD36遺伝子を導入したマウスNIH3T3細胞ではヒトCD36遺伝子を導入していないNIH3T3と比較し、酸化 LDL 添加による発光強度の増強が減弱した。これによりCD36中和抗体が得られた。
2: おおむね順調に進展している
抗体作成に際し、中和活性を持つ抗体を作成し得たものの、1クローンのみの作成にとどまっている。現在モノクローナル抗体の作成に取り組んでいるが、完成するかどうかは確率により左右されるため、モノクローナル抗体の大量精製までは至っていない。
モノクローナルな抗CD36中和抗体を作成します。その活性を評価し、最も中和活性の高かった物を大量精製します。モノクローナル抗体作成後は非臨床試験を行います。CD36を発現する卵巣癌・乳癌・胃癌などの細胞株を用いて免疫不全マウスに皮下腫瘍および腹膜播種を形成させ、精製したCD36中和抗体を10mg/kg, 1mg/kgを週1回、合計4回静脈投与し皮下腫瘍の大きさを毎週測定し、抗腫瘍効果を検討します。さらに、各癌種に適応のある抗癌剤を用いて、相乗効果のある抗癌剤を探索します。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Anticancer Research
巻: 34 ページ: 4615-4620
Cancer Medicine
巻: 3 ページ: 1159-1169
doi: 10.1002/cam4.301.