研究課題
本年度は、子宮内における補体C3のタンパク質としての発現機構について解析を行った。卵巣摘出(OVX)マウスを作製し、C3を分泌する内分泌条件を調べたところ、高濃度のエストロジェンを腹腔内投与したマウスの子宮において大量のC3が分泌されていることが明らかとなった。しかしプロゲステロンを同時に投与したところ、C3の分泌は見られなくなった。この結果から、子宮のC3分泌機能はエストロジェン依存であることが明らかとなった。またこのような人工的に誘導した子宮内液およびC3においても、精子を殺す作用が同等にあることが明らかとなった。以上の内分泌条件から考えると、子宮がC3を分泌するのは性周期のうち発情期および発情前期であると推察され、丁度交尾を行う時期に相当するタイミングで子宮からC3が発現していることが判明した。C3が多量に分泌される発情前期および発情期の子宮内を調べた結果、子宮内液には多くの細菌が存在することが明らかとなった。全ての細菌種の同定には至っていないが、補体C3が多く存在する状況である種の細菌は生存できることを意味している。昨年度までの解析によって、交尾経験のないメスマウスから回収した子宮内液でも、殺精子活性を有していることが明らかとなっている。子宮内C3がどのように精子を認識し、殺しているのかそのしくみは明らかにできていないが、今後、子宮で生存できる細菌との比較を行うことでその機構を明らかにしていきたい。
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Reproductive Medicine and Biology
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