研究課題
生殖機能を維持するためには、配偶子形成だけでなく、周期的な子宮内膜の再構築が必須である。そのメカニズムは内分泌系によって調節されるが未解明の部分が多い。我々が着目したのはエクソソームと呼ばれる細胞間の膜輸送に関わる膜構造体で、しかも通常の2重脂質層が明瞭なベシクル型ではなく、我々の研究から明らかになったマイクロエクソソームである。申請者が行った研究から、膜4回貫通型蛋白質CD9が雌の生殖機能、特に卵と精子の膜融合過程に必須であることを見出した。さらに、CD9は卵型エクソソーム(マイクロエクソソーム)の構成成分として卵から放出されることも明らかにした。マイクロエクソソーム従来の細胞間の物質輸送に関わるエクソソームとは構造が全く異なる。すなわち、マイクロエクソソームでは明瞭な2重脂質層が形成されず、小さなユニットが集合した形態を呈している。さらにその後の研究から、マイクロエクソソームは、子宮内膜上皮からも分泌され、子宮内膜の周期的な再構築に関与するという新たな知見が得られた。我々の結果と従来の知見を総合して考えると、エクソソームの分泌経路には2種類あることが推測される。一方は従来型のエクソソームであり、もう一方はマイクロエクソソームである。マイクロエクソソームはエンドソーム系ではなく、細胞膜が陥入して特定の脂質を細胞膜近辺に集積させ、その後、細胞外に放出されることが透過型電子顕微鏡による観察から推測された。子宮内膜では、VEGF-Aが取り込まれ、子宮内腔に放出されると考えられた。本研究では、マイクロエクソソームを介した女性生殖器官における組織再構築の分子メカニズムを解明し、子宮内膜を修復および再構築させる治療方法を開発することを目標とした。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Reproductive Medicine and Biology
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