研究課題/領域番号 |
26670735
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所) |
研究代表者 |
和田 芳直 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, 研究所長・母性内科部長 (00250340)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不育症 / 胎児発育遅延 / セリアック病 / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
トランスグルタミナーゼ2(TG2)は組織トランスグルタミナーゼとも呼ばれ、タンパク質同士の架橋やグルタミン→グルタミン酸変換を触媒する機能をもつ酵素であり、からだの多くの組織において(ユビキタスに)発現している。TG2に対する自己抗体は、小麦のグリアジンに代表されるプロラミン類タンパク質へのアレルギーによっておこる腸疾患セリアック病患者の大多数にみられることが知られているが、セリアック病女性に不育症の罹患率が高いという報告があることと、TG2が胎盤絨毛上皮からのマイクロパーティクル放出に関連するという組織細胞生物学的な基礎データから着想を得て、不育症患者におけるTG2抗体保有の実体解明と治療法の開発を目的とした本臨床研究を開始した。 まず、患者の同意を得て研究を行うにあたって必要な倫理申請を準備し、H26年12月に機関の承認(#741)を得た。この準備と並行して、自己免疫疾患患者における抗TG2抗体保有状況をみるため、匿名化して保存された自己免疫疾患患者血清を試料とし、INOVA社のQUANTA lite Rh-tTG IgG ELISAキットにより抗TG2抗体を測定するパイロットスタディを行った。その結果、抗リン脂質抗体(ルプスアンチコアグラント)陽性患者23名には抗TG2抗体陽性者は見つからなかったが、シェーグレン症候群およびSLE患者から収集した抗SSA抗体陽性患者31名のうち1名が陽性であった。次に、この市販ELISAキットの信頼性を確かめるため、研究室においてこれまでに作製していたリコンビナントTG2を抗原とする患者血清IgGの反応をウェスタンブロット法により確認したところ、当該患者血清IgGは確かにTG2に対して結合し、他の患者との違いは明確であった。すなわち、本研究で用いるELISAの有効性を確かめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の採択決定によって研究実施が可能となったので、急ぎ倫理申請を準備したが、承認を得るまでに半年を要した。
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今後の研究の推進方策 |
患者検体を集めて、抗トランスグルタミナーゼ2抗体測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
機関の倫理委員会の承認を得るのが遅れたため、実検体の測定を開始できなかったため、初年度分の経費の一部を次年度に回すことになった
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次年度使用額の使用計画 |
初年度計画分の物品費を中心に次年度に回す。
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