近年DDSを目的とした1Pt(カチオン型シスプラチン)および3Pt(アニオン型シスプラチン)という2つの新規薬剤が開発された。これらは従来のシスプラチンを電荷型にすることで、腎毒性をなくすことに成功したものである。さらに1Ptは芳香族環を有すことから高い抗癌活性をもち、従来のシスプラチンを上回る効果が期待される。また3Ptはリン酸基が骨成分に高吸着性を示す。我々はこれらの新規薬剤の臨床応用に向けた、トランスレーショナルリサーチとして、頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いたin vitroおよび in vivoの薬剤評価実験を行い、シスプラチンに比べて高い骨移行性を確認した。
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