研究課題/領域番号 |
26670741
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
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研究分担者 |
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60451431)
斎藤 潤 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (90535486)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 聴覚 / ミトコンドリア / アミノグリコシド |
研究実績の概要 |
アミノグリコシド系抗生剤(AG)の細胞内局在を明視化できるように、AGを蛍光ラベル化した。これを封入したミトコンドリア選択型のAG-MITO-Porterを作成した。このデバイスの検証には、使用実績の高いHeLa細胞を用いて、予備実験を行った。この実験系により、AG送達を効率的に行うAG搭載形式のMITO-Porterで調整条件設定を進めた。その結果、AGはほぼ完全にミトコンドリアへと移行できた。この条件を用いて、iPS細胞でもAGのミトコンドリア輸送を試みているが、iPS細胞では約10%しか移行が見られなかった。まずはミトコンドリア移行のよいHeLa細胞にてAG傷害を試みたところであるが、現時点では有意な傷害がみられていない。 また、マウス内耳組織でMITO-Porterが有毛細胞のミトコンドリアへ局在するかを検証した。マウス新生仔の内耳器官培養を用いて検証したところ、MITO-Porterは有毛細胞のミトコンドリアへ移行していた。 HeLa細胞、内耳器官培養と異なりiPS細胞へのMITO-Porterの取込みが少ないことは、細胞種によりMITO-Porter機能が影響されるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AG送達を効率的に行うMITO-Porterの調整条件が完全には決定できていない。HeLa細胞ではミトコンドリアへほぼ100%移行できたが、iPS細胞では約10%と低い。またHeLa細胞でもAG傷害が十分ではなく、今後の検証が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
まずはMITO-Porterの細胞内ミトコンドリアへの移行効率をあげる。細胞導入因子R8を倍増させたものを作製し、これにより効率上昇が見込まれる。また受動輸送typeではなく能動輸送typeを作る。同時に、AG搭載形式のMITO-Porterで高いミトコンドリアへ移行が得られているHeLa細胞で、AG傷害を十分に惹起する条件を検討する。 MITO-Porterの細胞内導入効率が内耳器官培養では悪くないため、1555変異患者由来のiPS細胞を内耳有毛細胞へと分化誘導を試みる。 一般にAGは内耳有毛細胞のチャネル(TRPチャネル)を介して細胞内へ侵入するといわれており、このTRPチャネルを導入することでAG傷害惹起の補助を試みる。
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