研究課題/領域番号 |
26670742
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡野 光博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60304359)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / プロテインA / IgG / IFN-γ / IL-10 / IL-5 / 単球 / 免疫複合体 |
研究実績の概要 |
本年度は機能的SpA-IgG複合体のヒト単球に対する遺伝子変動の網羅的解析、マウス腹腔マクロファージの機能的SpA-IgG複合体に対する応答性、ヒト末梢血単核細胞のPPDおよびCry j 1に特異的なサイトカイン産生におよぼす機能的SpA-IgG複合体の効果、ヒト鼻茸細胞おける黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB特異的サイトカイン産生に対する機能的SpA-IgG複合体について検討した。 機能的SpA-IgG複合体のヒト単球に対する遺伝子変動の網羅的解析については、3名の健康成人より末梢血単球が提供された。マイクロアレイ解析にて3名に共通して変動する遺伝子が複数同定された。その内の分子Xについては、タンパクレベルでも機能的SpA-IgG複合体の刺激で発現が亢進することが確認できた。この分子Xは強力な抗炎症作用を有する物質の合成酵素であり、機能的SpA-IgG複合体の免疫調節作用のひとつとして分子Xの誘導促進作用があることが示唆された。 マウス腹腔マクロファージの機能的SpA-IgG複合体に対する応答性としては、BALB/cマウスおよびC57BL/6マウスより腹腔マクロファージを採取し、機能的SpA-IgG複合体にて刺激した際のIL-10産生を検討した。本実験系ではマウス腹腔マクロファージは機能的SpA-IgG複合体刺激に対して有意なIL-10産生を示さず、特定の単球系細胞が機能的SpA-IgG複合体に反応することが示唆された。 ヒト末梢血単核細胞のPPDおよびCry j 1に特異的なサイトカイン産生におよぼす機能的SpA-IgG複合体の効果については健常人およびスギ花粉症患者由来の末梢血単核細胞を抗原にて刺激し、IFN-γおよびIL-5産生を測定した。PPD刺激に対するIFN-γ産生は機能的SpA-IgG複合体の添加で有意に抑制された。一方、Cry j 1刺激に対するIL-5産生に対する機能的SpA-IgG複合体の抑制作用はIFN-γ産生に比べると弱い傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度中に4つの課題をこなした。またマイクロアレイ解析を行うことで、新しい機能制御分子を同定することが可能となった。ただし、マウスモデルにおいてはポジティブな結果を得ることができなかった。これについては、平成27年度にチオグリコレートなどで活性化したマクロファージを対象として検討を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
機能的SpA-IgG複合体によって発現が変動される単球上の分子としては、分子X以外の分子もマイクロアレイ解析にて同定できた。平成27年度にはこれらの分子の機能についても解析を進める。またIgGの代替として自己血清を用いた場合のヒト単球系細胞の応答性を解析し、臨床応用に向けた萌芽研究を展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入にあたり安く購入できたため残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度にて試薬費は成果発表のための旅費への使用を計画している。
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