研究課題
昨年度は、機能的SpA-IgG複合体のヒト単球に対する遺伝子変動の網羅的解析、マウス腹腔マクロファージの機能的SpA-IgG複合体に対する応答性、ヒト末梢血単核細胞のPPDおよびCry j 1に特異的なサイトカイン産生におよぼす機能的SpA-IgG複合体の効果、ヒト鼻茸細胞における黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB特異的サイトカイン産生に対する機能的SpA-IgG複合体について検討した。その結果、本免疫複合体によって単球上の分子Xの発現が誘導されることが明らかとなった。この分子Xは強力な抗炎症作用を有する物質の合成酵素であることが他家によって示されている。したがって本年度は、この分子Xの上気道炎症における制御作用について検討を進めた。ヒト鼻茸分離細胞の黄色ブドウ球菌エンテロトキシンやBに特異的なIFN-γおよびIL-5産生は機能的SpA-IgG複合体の添加で抑制される(昨年度検討済み)。本実験系に分子Xの阻害薬を添加すると、SpA-IgG複合体の添加によるIFN-γおよびIL-5産生の抑制が部分的に解除された。一方、ヒト鼻茸分離細胞の黄色ブドウ球菌エンテロトキシンやBに特異的なIFN-γおよびIL-5産生自身については、分子Xの阻害剤の添加は有意な変化を誘導しなかった。以上の結果より、機能的SpA-IgG複合体による炎症制御の作用メカニズムのひとつとして、分子Xの発現誘導を介した抗炎症作用が示唆された。
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Allergology International
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