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2014 年度 実施状況報告書

遺残性真珠腫の根絶を目指して ―Galectin-7染色による真珠腫の術中同定―

研究課題

研究課題/領域番号 26670743
研究機関愛媛大学

研究代表者

羽藤 直人  愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60284410)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード真珠腫 / galectin-7 / 蛍光染色
研究実績の概要

真珠腫の治療原則は皮膚上皮である母膜を含めた全摘手術であるが、わずかに残った上皮母膜まで完全に摘出することは難しい。これは遺残の確認が術者の肉眼的な評価にゆだねられるためであり、母膜の何らかの客観的遺残確認法が開発されなければ、高率な術後再発率の改善は困難である。Galectin-7は真珠腫に特異的に発現するタンパク質である。これを利用して手術中に真珠腫上皮をgalectin-7抗体で蛍光免疫染色し、レーザー顕微鏡を用いて同定すれば、真珠腫の遺残を根絶できる。このアイディアとシーズを臨床展開することが本研究の目的である。手術時に摘出した真珠腫上皮が、galectin-7抗体を用いた蛍光免疫染色で同定可能であることは既に報告しているが、染色試薬の内耳毒性に関しては知られていなかった。平成26年度は、マウスの中耳に染色液を留置し、内耳毒性を含めた安全性確認を行った。フルオレセインは造影剤としても用いられており危険性に関してはさほど問題心配がないと思われるが、今回用いた染色液には抗体の他に様々な添加物が含まれる。中でも防腐剤として用いられているアジ化ナトリウムには悪心・嘔吐・心筋障害などがあり、現在毒物指定されている。仮に今回の染色液を人体に用いた場合、液中に含まれるアジ化ナトリウムは中毒量の約50分の1程度であると予想されるが、局所投与における安全性は確認されておらず、さらには正円窓を介しての内耳毒性の可能性も懸念される。動物実験におけるABR閾値測定や組織学的に内耳障害性の有無を検証したが、明らかな障害は認めなかった。この試薬開発が成功すれば、新たな耳科学の臨床診断法の確立、真珠腫治療成績の向上に寄与することが可能となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

galectin-7抗体を用いた真珠腫の染色実験と動物での安全性試験は順調に進展しているが、臨床試験に向けて防腐剤の不要な安全性の高い抗体の作製がまだ完成しておらず、革新的な創薬開発には至っていない。新たな抗体合成法に挑戦中である。

今後の研究の推進方策

本研究で用いたZenon Rabbit IgG labeling Kitsはフルオレセインに類似した蛍光色素を用いた標識キットである。フルオレセインは青色励起光にて緑色光を呈する蛍光色素として知られており、一般には入浴剤の着色料として、また医学領域では網膜の血管造影など幅広い分野で使用されている。また細胞生物学や免疫組織化学の分野では細胞標識を行い蛍光顕微鏡やフローサイトメトリーで観察するのに活用されている。近年では動物の生細胞への投与実験も試みられている。フルオレセインによる真珠腫の直接標識が可能であれば、安全性も高く臨床応用には現実的である。今後検討を加え可能性を探る予定である。

次年度使用額が生じた理由

抗体の選択に時間がかかり、発注できなかった分を翌年度に繰り越した。平成27年度は121,757円の繰越金を含めた合計額で研究を遂行予定である。

次年度使用額の使用計画

本研究を遂行するにあたり、経費として必要になるものは消耗品が主体である。消耗品は主に実験動物、プラスチック器具、組織染色用試薬であり、その他および謝金等の項目で動物飼育料、外国論文校閲費、論文投稿料を計上した。これらの価格は十分に事前に調査を行い、妥当な価格であると考える。研究の成果は、順次、国内、海外の学会、研究会で発表を行う予定であり、そのための旅費を経費に加えた。これらの価格は十分に事前に調査を行い、妥当な価格であると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Clinical features, presenting symptoms, and surgical results of congenital cholesteatoma based on Potsic's staging system.2014

    • 著者名/発表者名
      Takagi T, Gyo K, Hakuba N, Hyodo J, Hato N
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol

      巻: 134(5 ページ: 462-7

    • DOI

      10.3109/00016489.2013.875218.

    • 査読あり
  • [学会発表] 外耳道後壁、保存か削除か -症例の選択法-2014

    • 著者名/発表者名
      羽藤 直人
    • 学会等名
      日本耳科学会
    • 発表場所
      新潟市
    • 年月日
      2014-10-18

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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