申請者は「遺伝性難聴の根本的治療法の開発」を最終目標とし、これまで内耳原基である耳胞を対象とした研究を行ってきた。胎生11.5日マウス胎仔においては頭部側面の血管を指標にすることにより輪郭すら見えない耳胞へもアプローチが可能であるが、これ以降のマウス胎仔では内耳の構造が発達に伴い複雑になり、頭部皮膚も厚みを増すため経子宮的アプローチは困難であり、これが研究の大きな律速要因となってきた。本研究においては、マウス胎仔における内耳の局在と頭部表面の解剖を詳細に形態学的に評価することにより、胎生12日以降の子宮内胎仔内耳へのアプローチ方法を確立を目指した。 E11.5からE15.5の胎児頭部連続切片を作製し、体表の形態と内耳の位置関係について検討をおこなった。この結果を基に、E15.5の胎児を持つマウスの子宮壁を切開し羊膜を露出させ、胎児の体表形態を観察できるようにし、体表の形態を指標に羊膜経由で胎児の内耳にアプローチを試み、成功した。
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