研究課題/領域番号 |
26670753
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 長久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70211662)
|
研究分担者 |
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
辻川 明孝 香川大学, 医学部, 教授 (40402846)
西山 慶 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90447970)
中西 秀雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80724278)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 核磁気共鳴法 / パターン認識 / 加齢黄斑変性 / 前房水 / 血清 |
研究実績の概要 |
遺伝子型やVEGF濃度の測定などの従来の方法では、滲出型加齢黄斑変性(wAMD)に対する抗VEGF薬の反応性を事前に予測することは難しい。生体試料を核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)計測し、ケモメトリクスによるデータ解析を行う方法は、生体試料に含まれる豊富な情報を活用して、個々の試料を識別することを可能にする。 平成26年度は、wAMD患者、非wAMD(PCV)患者から採取した前房水・血清試料について、NMR計測値でwAMD患者と非wAMD(PCV)患者を識別できるかを検討する目的で、ケモメトリクスに適したNMR計測値の取得および信号処理手法の検討を行った。採取した血清・前房水は、遠心分離により細胞成分等の不溶成分を除去し、-80℃に保存し、NMR計測時に解凍して使用した。解凍した血清・前房水に、内部ロック用重水などを加え、ガラス製NMR試料管に入れた。NMR計測は、7テスラ(300MHz)FT-NMR装置(JEOL)にてプロトン(1H)測定を行った。多検体の連続自動測定が可能なケモメトリクス用自動測定プログラムを用い、1次元測定、水信号抑制1次元測定、CPMGスピンエコー測定等を行った。前房水は、計測に利用可能な試料量が微量(50μL)であること、軽水と相互作用する高分子成分の影響が無視し得ないことから、予備的なNMR計測条件の検討が必要であったが、微量試料用のガラス製NMR試料管(内径3mm)を使用し、軽水の照射条件等を変更することにより、血清と同等のNMR計測データを得ることが可能となった。平成26年度中に、前房水30検体、血清30検体のNMR計測を完了し、その後の信号処理およびデータ解析手法の検討を進めているところである。 並行して、前房水・血清試料を採取したwAMD患者および非wAMD(PCV)患者について、aflibercept硝子体注射による治療後の、治療反応性などの臨床データ収集を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた、wAMD患者と非AMD(PCVおよび白内障)患者からのサンプル採取は、目標数に達した。wAMD患者およびPCV患者の、aflibercept硝子体注射後の治療反応性などの臨床データ収集は、概ね予定通り進んでいる。前房水試料を用いたNMR計測についても、計測条件を調整することで、血清と同等のNMR計測データを得ることが可能となり、概ね予定通りのスケジュールで信号処理およびデータ解析手法検討に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
NMR計測データの信号処理およびデータ解析手法検討を引き続き進め、NMR計測値でwAMD患者と非wAMD(PCV)患者を識別できるか検討する。また、血清・前房水NMR計測値、臨床情報すべてを統合したデータ解析を行って、aflibercept硝子体注射治療前の前房水・血清から取得したNMR計測値によって、治療予後が予測できるかどうか検討を行う予定である。
|