研究実績の概要 |
実験1.緑内障モデル動物における網膜神経節細胞の細胞死とそのメカニズムの解明 慢性の高眼圧モデル動物であるDBA/2Jマウスを用いて実験を実施した。まず、生後1ヶ月齢より10ヶ月齢まで、眼圧の推移を測定し、バラつきはあるものの既報のとおり大部分の個体において眼圧が上昇していることを確認した。さらに、生後2, 4, 6, 8, 10ヶ月齢の各時点において、眼圧が上昇している個体より眼球を摘出し、眼球の組織切片の作製、網膜flat-mount標本の作製、ならびに網膜からのmRNA抽出を行った。網膜神経節細胞死とミクログリア活性化の関連についての新たな知見が得られており、更なる検討を実施中である。
実験2.緑内障モデル動物における網膜神経節細胞保護遺伝子治療の治療効果の検証 2ヶ月齢のDBA/2JマウスにSIV-hPEDF(2.5x 107、2.5x108 TU/mL)ならびにコントロール群であるSIV-EGFP (2.5x107 TU/mL)を2 μL網膜下投与し、経時的に眼球を摘出した。また、10ヶ月齢の時点で、上丘より逆行性に網膜神経節細胞を標識し、網膜flat-mount標本における網膜神経節細胞数をカウントした。治療効果について現在検討中であるが、概ね仮説通りの結果が得られている。また、眼内の神経栄養因子、増殖因子、サイトカインの変動などを含めた治療効果の分子生物学的な解析を並行して実施している。
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