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2014 年度 実施状況報告書

網膜黄斑部の形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26670761
研究機関独立行政法人国立成育医療研究センター

研究代表者

田中 卓  独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (20443400)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード網膜 / 黄斑 / 網膜神経節細胞 / 分化誘導
研究実績の概要

本研究では視力と最も関係の深い網膜黄斑部の形成、特性に関与する遺伝子を探索し、黄斑形成や眼疾患の理解につなげることを目的としている。研究前半の中心となるのは黄斑の形成のメカニズム解明に向けた網膜細胞の作製であり、本年度はまず検証に使用する多能性幹細胞から網膜神経節細胞への分化誘導系の検討を実施した。
黄斑では視細胞のみならず網膜神経節細胞も高密度に存在しており。従来の動物細胞、ことにマウスや鳥類では黄斑がないのでヒトと異なり、有効な実験はできなかった。したがって、ヒト多能性幹細胞から網膜神経節細胞を作製することは必須であるが、この分化誘導の方法はこれまでほとんど成功していなかった。しかし、我々は生体の発生過程を模した立体網膜形成のプロトコルを検討し、さらにこれを平面培養に展開することによって、ヒトiPS細胞から網膜神経節細胞を作製することに成功した。この神経節細胞は、すべての特異マーカーをもち、軸索流や活動電位の機能ももっていた。
神経節細胞にはさまざまなタイプがあり、黄斑に存在する特異タイプがあると考えられているが明らかでない。当該年度の成果で、初めてヒト細胞で網膜神経節細胞の分化誘導をin vitroで検討できるようになり、DNAチップを含めて詳しい遺伝子動態を解析することが可能となった。黄斑形成に関わる遺伝子を抽出するとともに、これまで研究を行ってきたPax6の黄斑特異的isoformとの関わりについても、今回作製した神経節細胞を用いて検討を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

網膜黄斑部を形成する候補遺伝子の選別については、完了には至たらなかった。しかし、ヒトiPS細胞から網膜神経節細胞を自己分化誘導できたことは大きな成果である。黄斑形成には網膜神経節細胞の密度集中と特異化が重要な要素であるので、ヒトでの解析ツールを初めて入手できたことになる。

今後の研究の推進方策

まずは計画どおり、黄斑部で特異的な発現を示す遺伝子群の同定の研究を進める。併せて、黄斑形成に関わる網膜神経節細胞の分化過程やPax6イソフォーム等の転写因子との関係についてDNAチップ等を含めて検討し、3次元培養での黄斑組織の分化誘導を目指す。

次年度使用額が生じた理由

その他に計上した使用額は受託解析の経費であるが、分類を誤って認識し計画書ではその他の経費を確保していなかった。研究進行の遅延のため、予定していた一部実験が今年度実施できず、予定よりも物品費の使用が少なくなった。今年度は関連の成果発表は行わなかったので、旅費は使用しなかった。

次年度使用額の使用計画

前年度に行えなかった実験の経費に繰り越し金を充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Generation of retinal ganglion cells with functional axons from human induced pluripotent stem cells2015

    • 著者名/発表者名
      Taku Tanaka, Tadashi Yokoi, Fuminobu Tamalu, Shu-Ichi Watanabe, Sachiko Nishina and Noriyuki Azuma
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10(5) ページ: 8344

    • DOI

      10.1038/srep08344.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2016-05-27  

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