研究課題
1980 年以降広島大学にて治療を行った小児がん患者のうち、同意を得て血液検体(ゲノム)を保存し得た約700例のうち、小児がんが治癒し成人に至った96 例の中で次世代の児を持ちえた27組(神経芽腫9例、腎芽腫5例、肝芽腫3 例、悪性リンパ腫4 例、横紋筋肉腫3 例、悪性胚細胞腫1 例、その他2 例)を対象に以下の検討を行った。また、二次がんを発症した6 例についても同意を得て、詳細な検討を試みた。1. 治療前後のゲノム解析:サイトスキャンマイクロアレイを用いて、小児がん経験者の治療前と治療後のゲノムについて解析し、ゲノム解析ソフトを用いて、ゲノム上に生じている差異を検討したところ、検討しえた23例で15例で1-13か所の異常が見出された。また、現有する次世代シークエンサーを用いて、二次がんを発症した6例に治療前後の全ゲノムの変化を検索したところ、19番の染色体に共通の異常部位が認められた。2. 次世代のゲノム解析:サバイバーとその児を解析したところ、23例を配偶者と共に検討したところ3例が児に異常が伝搬していた。また、ミニサテライト、マイクロサテライト解析で、反復配列の部位の変異について、次世代への遺伝学的継承については特に異常アレルへの変化はなかった。3. ゲノムの変化の評価:異常が見出された15例でその患者の治療年齢、治療内容とくに放射線療法(放射線治療の部位、線量、回数など)と化学療法(薬剤、投与量、投与回数)などとゲノム異常の頻度、部位などを検討したところ、放射線の全身照射と大量化学療法が有意に関連していた。さらに、児への遺伝的継承について検討したが、伝播した異常形式やその部位などについてこの3例に特徴は認められたなかった。二次がんを生じた6例中5例はゲノム異常を認めたが、発癌と直接明らかに関連するものは見出せなかった。
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