研究課題
本実験では筋肉内の静脈ネットワークを利用して運動神経軸索を効率的に筋線維へ届かせることができるかを検証することを試みた。評価対象となる動物モデルのは,手術手技の困難さのため当初予定していた胸背神経断端を胸背静脈に挿入するモデルから他の様々な部位でのモデルへ変更しながら最適なモデルを検討した結果,最終的に技術的に可能な伏在神経断端を大腿静脈に挿入するモデルとなった。血管をscaffoldとして軸索の伸長を期待し,まずはモデル作成から2カ月後に神経・静脈挿入部の組織を採取した。その挿入部の前後,神経部と静脈部の断面組織をNF-H,CD34による免疫染色を行い病理組織学的に観察することによって静脈管腔内への軸索伸長の有無を調べることとした。結果は神経側では軸索がNF-Hで染まるものの,静脈側では管腔内にNF-Hに染まる組織は観察されなかった。今回の結果からは軸索伸長にはscaffoldも重要であるが,それ以上に軸索を導く遠位部の要素(通常は遠位の神経断端)が重要であることが示唆された。
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