研究実績の概要 |
当初予定の研究期間(平成26,27年度)において2つの目標、すなわち、①ケロイド患者からの真皮由来線維芽細胞を用いてiPS細胞の樹立方法を確立し、樹立したiPS細胞からの線維芽細胞への分化誘導を試みることで、ケロイド線維芽細胞の特性を明らかにすること、②樹立されたケロイド患者由来iPS細胞から分化誘導したケロイド線維芽細胞と健常者由来線維芽細胞との比較を通じてエピジェネティクス分化制御を基軸とした発生メカニズム及び疾患病態を明らかにすることを挙げた。 しかしながら当該研究期間において①に掲げたiPS細胞の樹立が完成せず、本研究期間を1年間延長し、継続して同様の実験を行った。また昨年度と比較してケロイド由来細胞が増加したものの十分ではなかったため、市販のヒトケロイド組織由来線維芽細胞を用いて同様にiPS細胞の樹立を試みた。しかしながら考えられる種々の工夫を凝らしたものの結局想定したような経過をたどることが出来ず、研究期間内において当該iPS細胞の樹立を達成することはできなかった。 また既に入手していた健常者由来iPS細胞を線維芽細胞へと分化誘導させる専攻研究を並行して実施すべく、過去の先行研究を参考にして(J Clin Invest, 2010, Int J Clin Exp Patho, 2014)継続して行ったものの、いまだ確立された手法が不明な点も多く分化誘導させるに至ることはできなかった。
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