組織損傷後、低体温環境が低酸素誘導因子 (HIF) を誘導することにより代謝エネルギー消費を抑制し、組織細胞損傷を軽減する可能性が考えられる。本研究では、細胞内二次伝達物質代謝酵素ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)によるHIF制御およびエネルギー代謝機構を解析した。その結果、ゼータ型DGKを欠失させると、24時間の1%低酸素負荷によって、1)HIF1α蛋白の発現が約50%減少すること、2)エネルギーセンサーAMPKの活性化が亢進すること、3)細胞内ATP量が増加することを明らかにした。以上の結果より、ゼータ型DGKはHIFを介するエネルギー代謝機構に重要な役割を果たすことが示唆された。
|