高血糖下の急性肺傷害において,インスリンの気道吸入は炎症反応を抑制する.その効果が血糖降下によるのかインスリンの直接的抗炎症作用なのかを明らかにするために、今回は正常血糖でのインスリンの効果を検討した.肺洗浄によるウサギ急性肺傷害モデルでインスリン吸入を行った.6時間後に肺を摘出してBALF細胞および肺組織のIL-8,TLR-4,ENaCαなどを測定し,生食吸入群と比較した.今回のモデルでは,インスリンによる有意な炎症反応の抑制は認めなかった.しかし肺胞水クリアランスに関与するENaCαの発現はインスリンにより維持され,肺傷害からの回復に好ましい影響をもたらすことが示唆された.
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