研究実績の概要 |
軽量コンパクトで、移動が容易な『救急医療用生体マルチイメージング装置』を開発する。マイクロフォーカスによる高精細化X線動画像と細胞バイオイメージングを合体させ、関節・骨格の運動のみならず、心臓や横隔膜の動きを高精細のX線動画上で確認しながら、酸素欠乏状態に陥った血管障害部位の活性状態をリアルタイムで特定することができる。災害時や遠隔地、在宅医療などでCT, MRI,PETなどが使えない状況でも、救急医療の質的向上に役立つ装置を開発する。
平成27年度の研究活動では、X線/近赤外線マルチイメージングシステムの現地組立を行なった。X線/近赤外線マルチイメージングシステムを用いて、小型霊長類コモンマーモセット出産日および翌日、母親および新生児よりイメージングデータを取得した。近赤外カメラ撮影システムとX線動画撮影システムを組み合わせて、周産期マーモセットについて、母胎の血流状態を観察し、さらに新生児の頭蓋内硬膜下静脈の非侵襲的観察を試みた。十分な剃毛ができなかったことや、別波長の光による散乱干渉が起きたため、近赤外カメラを新生児マーモセットの無毛部分にあてて撮影を試みた結果、血管系を写しだすことに成功した。しかし動脈ー静脈の差が十分にイメージングされなかった。次に、近赤外カメラ撮影システムによる頭蓋内静脈および腹腔部の非侵襲的観察を試みた。老齢コモンマーモセットの大腿静脈より採血し、その自己血液を直ちに後頭部直下で第1頸椎の上の大槽に注入することによって、人為的にクモ膜下出血性の二次的正常圧水頭症状態を発症させた。この間、近赤外カメラによる観察を行った結果、大腿静脈および大腿動脈を近赤外カメラによって明瞭に区別できることを確認した。
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