腸内細菌叢は全身の免疫システムにおいて重要な役割を担い、救急患者においても生命予後や感染合併症などに影響を与える可能性が示されている。近年、高処理シークエンサーによる網羅的な細菌叢の解析が可能となった。本研究により、重症救急患者の急性期にダイナミックな腸内細菌叢の変化が生じており、抗生物質や疾患の重症度などが影響を与えていることが明らかとなった。また、来院時は患者ごとに固有の細菌叢が定着しているが、入院から1週間までに特に細菌叢が変移し、その後は新たな安定した腸内細菌叢に移行することも明らかとなった。また、過剰な腸内細菌叢の偏移は宿主である患者の生命予後にも悪影響を与えている可能性が示された。
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