研究課題/領域番号 |
26670791
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
佐和 貞治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10206013)
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研究分担者 |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60347466)
中嶋 康文 関西医科大学, 医学部, 教授 (70326239)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 単一ドメイン抗体 / 緑膿菌 / 3型分泌システム / PcrV / 重症肺炎 / 抗体療法 |
研究実績の概要 |
近年、高度多剤耐性を示す緑膿菌(MDRP)による感染が増加しており、新しい治療法の開発が求められている。期待される特異的な抗体療法の中で、重鎖(H鎖)のみで形成されている単一鎖抗体(VHH抗体)が自然界においてラクダ等で発見されたことから、抗原認識の最小単位としての単一ドメイン抗体(sdAb)が感染症に対する新しい抗体医薬品として期待される。緑膿菌は、多くの病原性グラム陰性桿菌と同様に、Ⅲ型分泌システムを用いて毒素タンパクを標的真核細胞の細胞質へ直接転移させることで病原性を発揮するが、この分泌装置の構造タンパクであるV抗原(PcrV)に対する抗体が分泌毒性を抑制できる。今回、この緑膿菌PcrVに対する遺伝子組換え単一ドメイン抗体を作成し、緑膿菌の感染症に対する新しい抗体医薬品としての可能性を探求する。申請者はこれまでに、294アミノ酸をコードする885bpsのDNAサイズを持つpcrV遺伝子を緑膿菌株PAO1株ゲノム exoenzyme S regulon内のpcrGVHpopBDオペロンよりクローニングを行い、遺伝子組換えヘキサヒスチジン(6xHis)タグ融合タンパク発現ベクターpQE30::pcrVを作成した。遺伝子組換えPcrVの生成では、このpQE30::pcrVで形質転換した大腸菌M15を1L程度、好気的な環境でLuria-Bertani(LB)培地にて培養し、IPTGによりタンパク発現を誘導し、遠心分離にて菌体を沈殿させ、細菌溶解バッファに再浮遊させ、超音波破砕機を用いて細菌壁を破壊し、発現したタンパクを溶出バッファへ溶かし、遠心分離を加え上澄みをIMACカラムへ通して、カラムを洗浄して非吸着タンパクを除いたのちに結合タンパクをカラムより抽出した。透析とエンドトキシン除去カラム (Detox, Pierce社)で精製したのち冷凍保存する。次年度に、これらの精製タンパクを用いてラマ由来抗PcrV抗体の作成とVHH単一ドメイン抗体ライブラリーの作成は、米国Abcore社 (CA, USA)に外注依頼する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗体産生に用いる遺伝子組み換えタンパクの精製を中心に行った。予定通りの計画が遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
精製タンパクを用いてラマ由来抗PcrV抗体の作成とVHH単一ドメイン抗体ライブラリーの作成は、米国Abcore社 (CA, USA)に外注依頼する。まずは、ラマ由来のハイパー免疫血清を用いて、緑膿菌モデルにて予防効果が発揮されるかどうか検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗原タンパクの準備に機器の破損から想定外の時間を要し、計画に少し遅れが発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に生成したタンパクを用いて、次年度、抗体生成のオーダーを行うことを追加し、計画を実施する。
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