研究課題
平成26,27年度の挑戦的萌芽研究では、「骨細胞ネットワークを介したPTH新規作用 -ミニモデリングと骨基質溶解・石灰化-」というテーマで研究を進めた。その内容の一つは、PTHの間歇投与による骨形成として、リモデリングだけでなく、ミニモデリング(破骨細胞の骨吸収に依存しない骨形成)による可能性、もう一つは、PTHの単回投与で骨細胞が周囲の骨基質溶解ならびに再石灰化を誘導する可能性についてである。前者に関しては、野生型マウスにhuman PTH(1-34)間歇投与を、2日に1回、1日に1回、2回、4回とし、投与量を20μg/kg/day, 20μg/kg/does, 80μg/kg/day, 80μg/kg/does の計16 群のモデルマウス(各群6 匹)を作製して行った。その結果、PTH投与頻度が高い場合、高代謝回転型の骨リモデリングを示しながら骨形成を誘導するのに対して、PTH投与頻度が低い場合には骨リモデリングだけでなくミニモデリングで骨形成を誘導することが明らかになった。現在、この研究成果はEndocrinologyにrevise中である。また、後者については、マウスに外頸静脈からhPTH(1-34; 80μg/kg)を投与し、皮質骨の骨細胞を観察すると、経時的に骨小腔周囲の骨基質から骨ミネラルが流失し、コラーゲンなどの有機成分が露出してくること、また、骨小腔の壁は粗造となりやや拡大することを明らかにしている。さらに、骨小腔周囲の骨基質に形状変化が認められなくとも、原子間力顕微鏡によるナノインデンテーションにより骨基質の物性を計測すると、PTH投与では骨小腔周囲の弾性率が低下し、物理的に脆弱化していることを確認している。この研究成果は、現在、論文作成中である。以上、骨細胞ネットワークを介したPTH新規作用の一端が明らかとなった。
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