研究課題/領域番号 |
26670800
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50273694)
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研究分担者 |
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90444497)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50423421)
山口 雅也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00714536)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔細菌 / 細菌由来色素 |
研究実績の概要 |
特定の病原性細菌種は,組織深部へ感染を拡大させる際に,色素を毒素として利用する.B 群レンサ球菌は,ポリエン系赤色色素であるグラナダエン(オルニチンラムノリピド) を細胞毒として分泌し,感染局所から深部組織へと伝播する.我々は,ゲノムデータベースを利用し,オルニチンラムノリピド色素を合成する遺伝子群が口腔常在菌であるActinomyces viscosus とPropionibacterium acnesに存在することを確認した.本申請研究では,口腔内細菌が産生する色素の菌種間相互作用への影響,および内因性感染症の成立への関連性について解析し,治療や予防の標的分子としての色素の可能性を検討することを目的とした. オルニチンラムノリピド色素産生能を有することが推測されたA. viscosus とP. acnes について,顎放線菌症および細菌性心内膜炎患者由来株を含めた臨床分離株を収集した.当研究室で保有している株と収集した株について,グラナダエン (オルニチンラムノリピド) の産生を促すグラナダ培地 (3.8% Proteose peptone, 15% デンプン,0.3% NaCl,10% ウマ血清: pH 7.8) 上で培養し,生育したコロニーの色調から,色素産生能を評価した.その結果,一部のP. acnes株がオルニチンラムノリピド色素を産生することを確認した.また,色素合成を担う推定遺伝子群の有無をPCR 法で確認した結果,推定cylE遺伝子の検出と色素産生能に相関関係が認められた. 以上の結果から,推定cylE遺伝子がP. acnesのオルニチンラムノリピド色素産生能に関与することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画に基づき,オルニチンラムノリピド色素産生能を有する口腔細菌の選出を行い,色素産生にcylE遺伝子が重要であることを明らかにした.現在は,オルニチンラムノリピド色素がP. acnesの粘膜上皮通過性に及ぼす影響を検討している.従って,本研究課題は順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた解析結果を基に,内因性感染症由来株とプラーク由来株におけるオルニチンラムノリピド産生能を統計学的に解析し,内因性疾患発症への色素の関与を検討する.また,口腔内の他菌種のクオラムセンシングに対する色素の効果についても検討する.さらに,色素産生能と口腔外への伝播能の関連性について,口腔粘膜上皮および動物モデルで解析する.
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