研究課題
細菌の産生する色素は抗菌因子や界面活性剤として作用することから,工業的に汎用されている.一方,いくつかのヒト病原性細菌に由来する色素は毒素作用を持つことが明らかになってきた.レンサ球菌群の一種であるB 群レンサ球菌が産生するポリエン系赤色色素であるグラナダエン(オルニチンラムノリピド) は,β-ディフェンシン2 の産生を抑制し,多形核白血球にネクローシスを誘導することが報告されている.本研究では,口腔内細菌の色素産生能に着目し,細胞毒として分泌された細菌由来色素と内因性感染症の成立の関連性を検討した.ゲノムデータベースを利用し,オルニチンラムノリピド様色素を合成する遺伝子群が口腔常在菌であるActinomyces viscosusとPropionibacterium acnesに存在することを確認した.そこで,顎放線菌症と亜急性細菌性心内膜炎患者由来株を含めたA. viscosusとP. acnesの臨床分離株について,色素合成を担うと推定されるGNAT (GCN5-related N-acetyltransferase)をコードする遺伝子群の有無をPCR 法で検出した.その結果,一部のP. acnes株がGNAT産生能を有する可能性が示唆された.次に,色素産生を促すグラナダ寒天培地上でA. viscosusとP. acnes株および陽性コントロールとしてB群レンサ球菌を培養し,形成したコロニーの色調から各株の色素産生能を評価した.その結果,推定GNAT遺伝子を有するP. acnes株において,オルニチンラムノリピド色素産生能が認められた.以上の結果から,P. acnesが産生するGNATがオルニチンラムノリピド色素産生に重要であることが示唆された.
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