研究課題/領域番号 |
26670803
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
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研究分担者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 胎生期マクロファージ / Fate Mapping 解析 / 血島 / 骨代謝制御 |
研究実績の概要 |
成体内の種々の組織に存在して生体防御の最前線で働いているレジデントマクロファージ(組織マクロファージ)のかなりの部分が骨髄の造血幹細胞由来ではなく、胎生期初期の造血組織である卵黄嚢の血島に存在する胎仔期マクロファージに由来することが分かってきた。破骨細胞は造血幹細胞に由来する単球・マクロファージ系の細胞であるが、胎生期に形成された破骨前駆細胞が生後、どのぐらいの時期まで生存し、成体における破骨細胞形成に関与するのかについては全く分かっていない。本研究では、胎生期マクロファージ系細胞のマーカーである転写因子GATA-2等の発現を指標として、胎仔期前駆細胞から形成された破骨細胞の経時的な追跡を行う。GATA-2-GFP遺伝子を導入した胎仔期前駆細胞を成獣(免疫不全マウス)に投与することにより、成体の骨組織へ胎仔性破骨細胞が誘導・生着することを実証する。本研究では胎児期マクロファージに由来する破骨細胞を検出・同定し、その運命と機能を明らかにすることを目的とした。本研究の重要な方法論であるFate mapping法の確立を試みたが、Fate mappingに最適なCreマウスが入手できず、計画内容の変更・修正を行なった。胎生期の破骨細胞を検出する免疫学的方法の確立を行なった。妊娠母体に破骨細胞特異的モノクローナル抗体を投与し、血行性に破骨細胞膜表面に特異的に結合させ、検出する方法論を検討した。血行性に抗体を送り込み、破骨細胞を検出する方法を確立する為に、新生仔に種々の抗破骨細胞モノクローナル抗体を投与し、組織学的な解析を行い、特異的に破骨細胞が検出されることを確認した。妊娠母体に抗体を投与して胎仔性破骨細胞の検出を試みている。尚、母体に投与して胎仔の破骨細胞を検出する為には胎盤を通過できる抗体を使用することが必要である。現在、胎盤を通過できる抗体について解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の重要な方法論であるFate mapping法の確立を試みた。しかしながら、Fate mappingに最適なCreマウスが入手できず、計画内容の変更・修正を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
Fate Mapping法に適したCreマウスの入手を行なうとともに、胎生期の破骨細胞を検出する免疫学的方法の確立を行う。妊娠母体(ラット)に破骨細胞特異的モノクローナル抗体を投与し、血行性に破骨細胞膜表面に結合させ、検出する方法論を確立し、Fate Mapping法と同様な胎生期破骨細胞の検出を成功させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に必要な解析用マウスの入荷が大幅に遅れた為、遺伝子改変動物を用いた解析が研究期間内にできず、免疫学的方法論に切り替えた。その為に、実験計画の修正を行なった為、次年度に組織学的解析を行う必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
以下の追加実験を行う計画である。1)胎仔由来破骨細胞の免疫学的イメージング:破骨細胞特異的モノクローナル抗体をラット(マウス)母体に投与し胎盤を経由して胎仔に抗体を送り込み、胎仔の破骨細胞を検出する。2)胎仔由来破骨細胞の分子マーカーの検出:造血系細胞の分化と維持に関する転写因子及びマクロファージ系の細胞表面マーカーの発現について解析する。
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