研究課題
我々は,切歯の発生過程のメカニズムを調べるために,発生過程で細胞がどのように動いているかをライブイメージングによって観察した。その結果,胎生16日齢のマウス切歯歯胚において唇側のエナメル上皮が伸張する時に,外エナメル上皮の中央部に切縁方向と形成端方向の両方に細胞を供給している特殊な領域を見いだした(dental epithelial bulge of outer enamel epithelium: DEG of OEE)。胎生14日の切歯の発生過程での上皮特異的赤色蛍光マウスの下顎骨透明標本では,近遠心的に傾いた帽状期の歯胚の外側からさらに遠心方向に伸張する上皮が観察された。この切歯歯胚の3次元立体構築像を横断面を軸に唇側と舌側を180度回転させると下顎第1臼歯の像とよく似ていることを見いだした。下顎臼歯歯胚の歯堤の部分が切歯の唇側の上皮であるかのように見られた。fucciマウスを用いて唇側上皮の成長における細胞周期を観察したところ, DEG of OEEは細胞分裂を起こさないで,形態形成の起点となっている可能性が示唆され,さらに培養期間を延長して観察するとDEG of OEEは唇側上皮に複数存在する可能性が示唆された。このDEG of OEEはグリコーゲンを貯蓄している細胞でもあることが明らかとなった。以上の結果から推測すると,切歯の唇側上皮は切歯の歯堤から発生した外側歯堤の亜型ではないかと考えられた。
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