研究課題
骨細胞ネットワークが破綻した骨芽細胞特異的Bcl2トランスジェニックマウスでは、Bcl2がアクチン切断酵素であるゲルゾリンと結合、その機能を阻害し、骨細胞突起の著減をきたし、骨細管も著減する。そのため、骨細胞は徐々にアポトーシスをきたし、骨細胞ネットワークが破綻する。このマウスは、非荷重状態にしたとき、野生型マウスで起こる骨量減少が起こらない。このマウスを用いて、非荷重状態の時に骨芽細胞および骨細胞に発現誘導される遺伝子を探索した。そして、非荷重時に骨細胞ネットワークの存在下でのみ誘導されるFkbp5(FK506 binding protein 5)を同定した。Fkbp5は、ステロイドレセプターに結合するシャペロン分子の1つである。Fkbp5の骨における機能を明らかにするため、ノックアウト(Fkbp5-/-)マウスを作製した。Fkbp5-/-マウスおよび野生型マウスの骨芽細胞を用いて、グルココルチコイドレセプター、プロラクチンレセプター、アンドロゲンレセプター、エストロゲンレセプターの転写活性化能に対するFkbp5の機能をレポーターアッセイで解析した。Fkbp5の欠失は、グルココルチコイドレセプターの転写活性化能を増加させたが、その他のレセプターの活性化能は変化を認めなかった。徐放性プレドニゾロンペレット(低容量1.25m/kg/day、高容量3.2 mg/kg/day)あるいはプラセーボペレットを植え込み、骨量をマイクロCTにて比較した。高容量プレドニゾロンペレットでは、Fkbp5-/-マウスは4週間以内に全例が死亡した。低容量プレドニゾロンペレットでは、死亡例は少なかったが、野生型マウスに比較し、骨量減少が顕著であった。したがって、Fkbp5は、グルココルチコイドによる骨量減少に関与することが明らかとなった。
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http://www.de.nagasaki-u.ac.jp/dokuji/kaibou-2/