研究課題
我々は、細胞周期が停止した細胞(Quiescent Osteoclast Precursors, QOP)が破骨細胞の前駆細胞であることを証明した(J Cell Biol 184:541, 2009)。本研究は、QOPの動態を解析し、破骨細胞の形成部位決定機構を明かにすることを目的に計画された。研究期間全体で明らかになったことは以下のとおりである。(1)WntシグナルがQOP形成に重要な役割を果たしていること、(2)OPG欠損マウスを用いた解析より、RANK-RANKLシグナルがQOP形成に重要であることが示された。(3)RANKのプロモーターを組み込んだレポーターアッセイを確立して、RANK発現上昇因子を検索してきたが、その因子の同定は成功していない。最終年度報告(1)Wntシグナル解析:RANK発現調節因子の解析より、破骨細胞前駆細胞は破骨細胞への分化に伴い、Wnt5aの発現が急上昇することを見出した。すなわち破骨細胞の分泌するWnt5a はQOP形成因子であることが示された。一方、Wnt16、Wnt4およびWnt3aは破骨細胞形成を抑制した。Wnt4とWn3aはOPGの産生亢進を介して破骨細胞形成を抑制したのに対し、Wnt16による破骨細胞形成抑制はWnt5aシグナルで調節されていた。以上より、破骨細胞や骨芽細胞が分泌するWntが破骨細胞の形成部位決定機構に関わる可能性が示された。(2)RANK発現誘導因子の解析:RANKのプロモーターを組み込んだレポーターアッセイを確立して、RANK発現上昇因子を検索してきたが、その因子の同定は成功していない。一方、OPG欠損マウスの解析より、RANKL-RANKシグナルは、QOP形成に極めて重要であることが示された。
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