研究課題/領域番号 |
26670815
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小崎 健一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50270715)
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研究分担者 |
十川 紀夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30236153)
十川 千春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10253022)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発現制御 / 遺伝子 / 癌 / 発生・分化 / 移植・再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究では、「人体のあらゆる細胞を自由自在に単離できる」新たな生細胞分離法の確立を目指して、目的とする細胞で特異的に発現する遺伝子のプロモーター配列を蛍光レポーター系ウイルスベクターへ組み込んだGene Promoter Activity Detection (gPAD)システムの確立を試みる。従来の抗原抗体反応による生細胞分離法は、マーカーとしうる抗原分子が細胞表面に局在し、その特異抗体が作成可能な分子に限られるため、分離可能な細胞も限定される。本研究で確立を試みるgPADシステムは、遺伝子の転写活性を指標とした蛍光レポーター系であるので、限られた表面抗原やその特異抗体に依存せず、全ての遺伝子での応用が可能である。本研究の成果は、医学生物学における研究領域全般へ大きく貢献する可能性を含んでいると考えられる。 初年度(平成26年度)は、既に上皮-間葉転換(Epithelial-to-Mesenchymal Transition, EMT)との関連性が報告されている浸潤・転移関連マーカー遺伝子の中でも細胞外マトリックス分解酵素MMP-9 (matrix metalloproteinase-9)とその生理的阻害因子TIMP-2 (tissue inhibitor of metalloproteinase-2)、ならびに最近の報告で大腸癌転移との関連性が示されたメタロチオネイン(MT)遺伝子に着目して、各遺伝子のプロモーター配列をgenomic PCR法により単離し、それらの配列における転写活性の確認、さらには単離したプロモーター領域を蛍光レポーター系ベクターへ組み込んだGene Promoter Activity Detection (gPAD)システムの作成・検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
gPADシステムの作成に関して、ウイルスベクターではなく、プラスミドによる蛍光レポーター・コンストラクトの構築を優先し、実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成27年度は、平成26年度の研究実施計画を継続して行うとともに、作成した各gPADシステムを既報のin vitro浸潤/in vivo転移モデル系へ個別に遺伝子導入し、蛍光強度による細胞分画、あるいは一細胞単位での細胞分離が可能であるか等を検証する。また、得られた細胞分画あるいは一細胞単位での個々の細胞における細胞特性や形質について、定量的あるいは網羅的発現解析と上述のin vitro浸潤/in vivo転移モデル系等を用いた機能的解析を進めるとともに、個々のgPADシステムによる生細胞分離法に関して詳細な検証を行う。そして、「人体のあらゆる細胞を自由自在に単離できる」新たな生細胞分離法の確立、さらには癌や発生学、再生医療分野等の医学生物学全般へ大きく寄与する事を目指して、多数のEMTならびに浸潤・転移等に関連する遺伝子群のプロモーター配列の単離を継続的に推進する事によって、最終的に同システムのライブラリー化を試みる。
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