研究課題/領域番号 |
26670817
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80242436)
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研究分担者 |
秋葉 陽介 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70547512)
伊藤 明子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80361898)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔扁平苔癬 / 口腔粘膜上皮細胞 / CD8陽性T細胞 / インビトロモデル / 共培養 |
研究実績の概要 |
本年度の研究計画としては、○検証(1)FACSを用いた培養口腔粘膜上皮角化細胞のFasL(CD178)発現陽性率と発現強度分析。○検証(2)培養口腔粘膜上皮角化細胞に発現しているFasLの機能分析を行った後、目標の1として設定した、T細胞(CD8陽性)と培養口腔粘膜上皮との共培養によるインビトロ口腔扁平苔癬モデルの構築であった。まず、検証(1)について、クローンの異なる2種類の抗体、および実験の適用としてFACS用抗体とICC用抗体と合計4種類の抗体を購入した。かつ、FasLは細胞膜上と細胞質内での発現の2つの局在があるため、細胞固定後に浸透させる方法をいくつかためしたり、トリプシンを用いなかったり、培地のカルシウム濃度を上げてインビボ環境に近くしたり、最終的にはMMPによって膜上のFasLが遊離して可溶性のFasLとなって分離するのを防ぐために、バチマスタットというMMP阻害剤を用いて発現確認を行ったが、いずれのネガであった。つまりFasLの発現は通常の範疇の培養口腔粘膜上皮細胞には確認できなかった。逆にFas(CD95)は、ほぼ100%の細胞に発現していることを確認し、またIFNγ投与(擬似炎症反応)によってMHCクラスIの発現増強と陽性細胞増加を確認できた。いずれにしても、FasLの発現を確認できなかったということは、培養細胞において本モデルの構築が不可能であるという懸念を含みながら、少量でも発現を誘導する方法が発見されることで、本モデルで実証したいことが達成できることにつながるので、実験系が簡略化されることを示唆している。また、T細胞との共培養については、市販のCD8陽性T細胞の価格が高いので未実施であった。今後は、ボランティアの血液によりフレッシュなT細胞を用いて、共培養の確立に努力し、T細胞のFasおよびFasL発現の様相も検索していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養口腔粘膜上皮細胞におけるFasLとFas発現の有無(=ベースラインデータ)について、2種類、合計4つの抗体を用いて、さらに様々な条件検討が必要だったので、実験手技においての条件を変えて、徹底的に検討した。結果的にはすべてネガ、というある意味予定外の結果であったが、そのためにT細胞と口腔粘膜上皮の共培養を行う実験に手が回らなかったため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
培養口腔粘膜上皮細胞に少量でもFasL(CD178)の発現を誘導する方法が発見されることで、本モデルで実証したいことが達成可能となり、実験系が簡略化されることを期待している。従って、申請書の平成27年度の研究計画どおり、薬理学的に培養口腔粘膜上皮細胞にFasLを発現させる方法(=扁平苔癬の画期的治療法につながるという仮説)を追究していく予定である。さらに、T細胞との共培養については今後、ボランティアの血液によりフレッシュなT細胞を用いて共培養の確立に努力し、T細胞のFasおよびFasL発現の様相も検索し、上皮と免疫系細胞の相互作用を組織学的に観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養口腔粘膜上皮細胞のFasL発現に関してのベースラインデータの収集に集中したために、培養上皮細胞とCD8陽性T細胞との共培養、とそのモデル確立の実験にほとんど手が回らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
早急に、ボランティアを募り、フレッシュなT細胞を培養し、非特異的刺激をかけてT細胞におけるFasL発現を解析後、培養口腔粘膜上皮細胞との共培養システムの構築を実施する。
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