研究課題
Sema3Aがヒト歯髄幹細胞の硬組織形成に及ぼす影響について検討を行ってきている。前年度までに、ラット歯髄組織およびヒト歯髄細胞はSema3Aおよびその受容体を発現していること、Sema3Aを用いてヒト歯髄細胞あるいはラット歯髄組織を刺激すると、石灰化が引き起こされ、修復象牙質構造の再生を認めることをin vitroおよびin vivo実験系により明らかにしていた。in vivoラット露髄モデルを用いて、異なる露髄サイズに対するSema3Aの修復象牙質構造再生について検討した。キャリアとしてナノbeta-TCPスキャフォールドやコラーゲンシート等にSema3Aを浸漬させ、その効果を検証したが、スペースメーキングの条件の設定に再現性が取れなかったことから、モデルの確立が困難で新たな結果を得るに至っていない。一方で、ヒト歯髄細胞を用いて、Sema3AとCaSRやbetaig-h3を介したCa刺激の石灰化に対する効果を検討したところ、各因子の関与が認められた。また、象牙芽細胞細胞においてTGF-betaシグナリングのターゲット遺伝子の一つであるtrasgelinの発現も認められた。以上のことから、Sema3Aは直接覆髄面において歯髄細胞から象牙芽細胞への分化を誘導し、修復象牙質形成を促進しており、そのメカニズムにはbeta-cateninシグナリングならびにCaSRシグナリングやbetaig-h3が関連していることが示唆された。これらの知見により、今後Sema3Aを用いた新たな直接覆髄材の開発に繋がっていく可能性が考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)
Archives of Oral Biology
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