歯髄が露出した場合、直接覆髄法が確立されているが、従来の覆髄用材料では限界があり新たな覆髄法の確立が待望されている。本研究では、ラット歯髄組織およびヒト歯髄細胞はSema3Aおよびその受容体を発現しており、Sema3A刺激によりヒト歯髄細胞の走化性、遊走能、増殖能および象牙芽細胞分化を促進することが明らかになった。一方、ラット露髄モデルにおいて、Sema3Aを用いて直接覆髄した臼歯では、象牙細管様構造を伴った修復象牙質の形成が認められた。以上の結果からSema3Aは象牙質再生において機能的に作用する因子であることが示唆され、将来の新規直接覆髄材としての可能性が考えられた。
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