研究課題/領域番号 |
26670829
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10344524)
宮治 裕史 北海道大学, 大学病院, 講師 (50372256)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクロナノパターン / ゼラチンシート / 骨芽細胞 / 線維芽細胞 / ナノインプリント |
研究実績の概要 |
本年度は、数種のマイクロナノパターンを持つゼラチンシートを調整し、線維芽細胞、骨芽細胞の付着挙動および配向性を比較した。 パターンを持つ石英マスターモールド上にPETフィルムを載せ、熱ナノインプリント装置にて、0.2MPa、105℃にて5分間プレスした。得られたレプリカモールド上に10%ゼラチン溶液を滴下し、24時間乾燥後、モールドからパターン化ゼラチンシートをはがした。その後、200℃/2時間加熱架橋し、培養ディッシュ内で膨潤・乾燥させることで、パターン化したゼラチンシートを固定した。ヒト線維芽細胞を播種し、SEMにて付着細胞数の算出と形態観察を行った。ゼラチン溶液を用いてナノインプリント法でパターン化した結果、Groove、Hole、Pillarの各パターン形状が付与されたゼラチンシートを作製することができた。パターン形状を付与することで細胞付着数は増加したもののパターン形状間においては細胞付着数に大きな違いは観察されなかった。細胞の形態をSEMにて観察した結果、Groove上では溝に沿って一部の細胞の配向が観察された。また、パターンサイズが小さくなればなるほど、細胞がよりよく伸展していた。ゼラチンシートにマイクロ・ナノ構造を付与することで、細胞付着数の増加と各々のパターン形状が細胞の伸展度合いに影響を及ぼすことが明らかとなった。 骨芽細胞においても、パターンサイズが小さくなればなるほど,細胞がよりよく伸展していることが示され、マイクロナノパターンを付与することにより、細胞付着数の増加と細胞の伸展方向に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Groove、Hole、Pillar等のマイクロナノパターンを持つゼラチンシートを計画通りに作製することが可能であった。さらに、線維芽細胞、骨芽細胞の培養をパターンを付与したゼラチンシート上で行い、マイクロナノパターンが細胞の配向や伸展に影響することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
パターンの形状の違いによる接着に及ぼす影響についてタンパクレベルでの解析を進め、骨芽細胞や線維芽細胞の接着や増殖に有利なパターンを見いだすとともに、チタン表面への貼付方法を検討する。さらに、パターンの違いが細胞の接着にどのように影響するのかを検討し、骨芽細胞が接着しやすいパターン、線維芽細胞が接着しやすいパターンを明らかにする。課題としてゼラチンシートは、培地中で長期浸漬すると溶解しやすいことが挙げられるため、今後はより安定な材質を検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物埋入試験を予定していたが、本年度は行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、マイクロナノパターンを付与したゼラチンシートの動物埋入試験を行い、組織反応を検討するとともに、パターンの形状の違いによる接着に及ぼす影響についてタンパクレベルでの解析を進め、骨芽細胞や線維芽細胞の接着や増殖に有利なパターンを明らかにする。マイクロナノパターンを付与したゼラチンシートのチタン表面への貼付方法を検討する。さらに、パターンの違いが細胞の接着にどのように影響するのかを検討し、骨芽細胞が接着しやすいパターン、線維芽細胞が接着しやすいパターンを明らかにする。
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