顎関節症患者の痛みの長期経過に影響を与える因子について検討した.対象は2003年4月から2013年3月までの間に大阪大学歯学部附属病院に来院した顎関節症患者500名とし,郵送法によるアンケートを実施し,研究参加への同意の得られた女性59名を選択した. 初診時と現在における顎の痛みの変化量を従属変数とし,Symptom Checklist-90-Revisedの下位尺度,担当医への信頼度,指導に対するコンプライアンスを独立変数とする重回帰分析を行った結果,顎関節症患者における疼痛の長期予後は,初診時の身体化の程度と非特異的な治療効果である担当医に対する信頼度により影響を受けることが示唆された.
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