研究実績の概要 |
被験者は大阪大学医学部附属病院神経内科外来で治療中のPD患者の中で,日常の食事を経口摂取しており,嚥下機能検査を希望した者30名(男性14名, 女性16名 : 平均年齢69.4±11.6歳 : Hoen & Yahr stageⅡ 8名, stageⅢ 15名, stageⅣ 7名)およびコントロール群として嚥下障害のない健常高齢者20名(男性8名, 女性12名, 平均年齢71.6±13.4歳)とした. PD被験者の嚥下時舌圧最大値は, 健常被験者群と比較してCh.1,2,R,Lにおいて有意に低い値を示した. また, 嚥下障害のあるPD被験者の嚥下時舌圧最大値は, 嚥下障害のないPD被験者と比較して, 口蓋正中前方部のCh.1, 同中央部のCh.2において有意に低い値を示した.さらに, Hoen&Yahrのstageの進行とともに各Ch.において舌圧が低下する傾向が見られたものの, 有意な差がみられたのは口蓋中央部Ch.2におけるH&Y stageⅡとstageⅣの間のみであった. SDQ-J ScoreとCh.1(r = -0.377, p = 0.048)およびCh.2(r = -0.538, p = 0.004)の舌圧最大値との間に有意な負の相関がみられた. SDQ-J oral phase Scoreは, Ch2の舌圧最大値との間に有意な負の相関がみられた(r = -0.572, p=0.001). SDQ-J pharyngeal ScoreとCh1(r = -0.456, p = 0.015)およびCh2 ( r = -0.576, p = 0.001)の舌圧最大値との間に有意な負の相関が見られた.健常者において見られなかった舌圧部分欠失, 完全欠失, 順序性の乱れはPD群においてそれぞれ33.3%, 6.6%, 30.0%認められ, PD[嚥下障害有]群において特に顕著であった.また複数回嚥下は健常者の30.0%に見られたのに対して, PD群では80.0%, PD[嚥下障害有]群ではすべてに認められた.
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