研究実績の概要 |
前年度計測した30名のパーキンソン病(PD)患者の舌圧データについて解析を行い、喉頭運動波形ならびに嚥下音波形より、嚥下1施行あたりの複数回嚥下の頻度について、健常者群と比較した。その結果、健常群では,複数回嚥下は 30.0%の被験者にみられたが、PD 群では80.0%にみられた.さらに PD[嚥下障害なし]群では 62.5%の被験者に, PD[嚥下障害あり]群では 100.0%の被験者に複数回嚥下が観察された.複数回嚥下が見られなかった 6 名は,いずれも PD[嚥下障害なし] 群の患者であった.この結果は過去のPD患者の複数回嚥下についての報告とも一致しており、今回の研究結果からの考察として、嚥下時舌圧最大値の低下、および舌圧の欠失や順序性の乱れという舌圧発現異常パターンにあらわれている舌の可動域や巧緻性の低下が原因となり口腔・咽頭残留が生じ、その結果として複数回嚥下が生じていると考えられた。
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